うるせえだまってろ君

弟ピーは、春から空手をやっている。空手をやる子っていうのは、弱虫なのを親が心配して来てる子と、「強くなりてえ」と、自分から来てる子がいるんじゃなかろうか?
ピーはどちらでもなく、ちょっとやる気になっていた剣道が、3年生じゃないとトレーニングしかできないことを知って、じゃあ近くの道場に行かせてみようかということで、流れで行ってみただけ。
初日、格好が普通の服を着ている子は、はじめたばかりの子だと一目でわかる。ちょっと緊張気味のピー。私も廊下で見ていたのだけど、しばらくすると、明らかにピーのテンションが下がっている。あら?何かあったかな?と、母にはわかる。
道場から出てきたピーがくらーい声で、「ぼく、となりにいたこに『なまえなんていうの?』って聞いたら、『うるせえ、黙ってろ』って・・・。」はあ、それはへこむわ。
でも、何でもないって声で、「『うるせえだまってろ』っていう名前なんじゃない?」と言った。ピーは「は?」って顔をしてすぐ笑顔になり、「そうかあ。」と言った。次の日、「おい、うるせえだまってろ君。」「なにぃ?」「ぼくが昨日名前聞いたらそういっただろ。」だまってろくんは、フン、と横をむいたきり、何も言わなかった。あとは子ども同士のこと、私も気にもとめず、やがて、夏。
「おれあいつと最近、仲いいよ。」「え、どうして?」「おれが対応を変えた。」大人のような言い方に吹き出した。子どもはいいよ、先入観も、あとくされもない。何も言わないのがいちばんだな。・・・毎日、兄弟げんかに本気で介入しすぎて疲れているわたし。なにも言わずにいよう、なるべく・・・

ケツノポリス3

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